パ犬

さっぽろ ホラー映画とパンとTinder(卒)

恋人が泣いた


 

一昨日の夜、彼のお家で2泊3日を終えて終バスで帰宅する予定だった。

 

外出して夕食を食べて、家でテレビを見たりごろごろしている内に帰宅一時間前になった、ふと彼を見るとさっきまで元気だったのに目に見えてテンションが落ちている。いつもニコニコしている恋人が悲しげな顔でベッドに転がっているので「眠たいでしょう」と隣に座って頭を撫でると「帰っちゃうんだ…さみしい」と私の腰に頭を埋めて顔を隠した。

 

今までずっと彼の「さみしい」が本気か冗談かわからなかった。

 

過去付き合った男に「寂しい」と言われて本気にした私は元彼への連絡や愛情表現を増やし、寂しくならないよう努めたのに「重い(要約)」と言われ別れたことがある。お前が言ったんだろうが…と腹が立ったけど、素直に受け取りすぎなのかな?とも思った。

 

これがあってから友人でも恋人でも素直に受け取れない事がたまにある、さみしいと言われて私は少し戸惑いました。

 

「帰ってほしくない…」
「またすぐ(4日後だから本当にすぐ)会えるよ〜」
「泣いちゃいそう」本当に泣きそうな声
「泣かないで可愛いねかわいすぎて泣きそう(息切れ)」
「ぐす…」
「!?」
「すん…」
「○○くん泣いてるの?」

 

顔を覆う枕を避けると目尻が濡れていて、大きな目は光を受けてうるうると揺れていた、たまらずキスをすると彼は目を伏せる、長いまつ毛が濡れていた。

「なぜ泣くの」と聞くと「僕のこと忘れないで」と眉をしかめるので「いつもあなたのこと考えてるよ」と言って目尻にキスをした。明日の朝まで一緒にいようねと声をかけると泣き顔のまま微笑んでいてどうしようもなく愛しかった。

 

急にポエマーが出てきてしまった

静かにほろほろと泣いていて綺麗だった、彼の言葉だけはそのまま信じていいんだなと安心した。彼の涙声を聞くと私まで泣けてきてそのうち私の方がぼろぼろ泣いていた。

 

「あなたが転職して土日休みじゃなかったら全然会えない、出来ても一泊…」
「金曜から来て二泊するよ」
「〇〇さんはいつまで僕に優しくしてくれるの、いつか優しくなくなるのが怖い」
「私〇〇くんが思ってるよりも〇〇くんの事大好きだよ、たくさん会いたいから土日休みの仕事にしようと思ってる、一生隣にいたいと思ってるよ泣」
「また泣いちゃうからだめやめて泣」
「好きだよ泣」

 

ふたりでたくさん泣いて笑って一緒に生きていきたいな

誠実にまっすぐに彼を裏切らずに生きていきたい

 

 

 

深夜若干の腹痛で目が覚めて、トイレに立てこもっていたら「大丈夫?」とドアをノックされた、びっくりして咄嗟に「大丈夫です!」と答えた。

眠くて時間間隔が曖昧だったが10分以上トイレにいたらしい、トイレを出ると彼はキッチンでお水を飲んでいたので「起きちゃった?ごめんね」と謝ると「大丈夫?いなくなったから…」と優しく抱きしめてくれて腹痛を忘れた。

私が眠るまで頭を撫でてお腹をさすって温めてくれたのでまたすぐに眠った。

 

なんて幸せなんだろう、このまま死んでもいいとさえ思う。

こんなに幸せだとあなたを失った時がすごく怖いよ、と話すと彼は「僕も怖い」と私を強く抱きしめた。死ぬまで一緒にいられたらいいのに、泣けてきた。

別れる理由なんて一つもないのに今から考えてしまう。

彼も同じように考えていてなんだかほっとした、お互い根がどネガティヴなので定期的にさめざめ泣く事になるでしょう。泣くことはストレスの発散になるし感情を発散できるのであれば私の目の届くところでたくさん泣いて欲しい、私も泣きたいときに泣くので。

 

今までもネガティヴな人間と付き合ったことがあるけれど、どれも自分本位で察してちゃんばかりだったので心が疲れた。彼は不満や不安を分かりやすく言語化して素直に話してくれるのでコミュニケーションがとてもスムーズで、解決に向けてどうしたらいいか分かりやすいので助かる。

 

 

 

私は他人と同じ空間にいるのが苦痛な方だ。

 

ごはんは一人で食べたいし(家族と住んでいるが部屋で食べることが多い、仲は良い)趣味は一人で出来るものばかり、一人映画だって温泉だって焼肉だってカラオケだって散歩だって基本的に一人が一番楽しかった。

 

それなのに今は彼と過ごすのがこんなにも心地よくて一人の休みが退屈でたまらないくらい、ここから一人で生きていける気がしないな~と思っていた。

天気のいい朝、彼が「普段仲のいい友達でも一緒にいるとイヤになるのに○○さんとは何日一緒にいても疲れないのなんでだろう、最初は○○さんが気遣い上手で僕に合わせてくれてるのかと思ったけどそうでもないみたいだし…?」と不思議そうな顔をしていた。

感情で話しているわけではなく本気で疑問に思って原因が知りたいと思っている時の声だったので笑ってしまった、仕事の話と同じトーン、かわいいね。私も同じ気持ち。

 

私は彼に似てきた、穏やかで優しくかわいく真面目になってきた(自分で言うな)

彼は私に似てきた、更にかわいくふにゃふにゃで私専用のキス魔になった。